【オンコロニュース!!】高グレードの神経内分泌腫瘍患者に対するオプジーボ+抗ヤーボイ併用療法、客観的奏効率44%を示す
この記事の3つのポイント
・高グレードの神経内分泌腫瘍患が対象の第2相試験
・オプジーボ+ヤーボイ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は44%で、全生存期間の中央値は11ヶ月以上を示した
2019年3月29日より4月3日まで米国・アトランタで開催された第110回米国がん学会議(AACR2019)にて高グレードの神経内分泌腫瘍(NET)患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のSWOG 1609 DART試験(NCT02834013)の結果がUniversity of California San Diego School of MedicineのSandip Patel氏らにより公表された。
SWOG 1609 DART試験とは、高グレードの神経内分泌腫瘍(NET)を含む37種類以上の希少がん患者に対して2週毎にオプジーボ240mg+6週毎にヤーボイ1mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、6ヶ月以上の病勢安定率(SD)などを検証した単群オープンラベルの第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。前治療歴中央値は2レジメン。神経内分泌腫瘍(NET)の種類としては胃と腸で47%(N=15人)、肺で19%(N=6人)。グレード分類としては高グレードが56%(N=18人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である高グレードの神経内分泌腫瘍(NET)患者群における客観的奏効率(ORR)は44%を示し、奏効の内訳としては完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)7人であった。なお、低グレード、中グレードの患者群で奏効を示した患者は1人もいなかった。副次評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)は31%(95%信頼区間:19-52%)、全生存期間(OS)中央値は11ヶ月以上を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は倦怠感30%、吐き気27%を示した。また、全グレードの免疫関連の有害事象(irAE)としては甲状腺機能低下31.3%、AST上昇25%。グレード3~4の免疫関連の有害事象(irAE)としてはALT上昇9%、AST上昇6.3%、大腸炎6.2%であった。なお、グレード5の免疫関連の有害事象(irAE)は1人の患者も発症しなかった。
CT039 – A Phase II basket trial of dual anti-CTLA-4 and anti-PD-1 blockade in rare tumors (DART) S1609: The neuroendocrine cohort(AACR 2019, March 31, 2019)
著者 山田創
製薬企業、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターに転身。
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