神経内分泌腫瘍(NET)に対し、VEGFR/METチロシンキナーゼ阻害薬cabozantinibは抗腫瘍効果を示し、無増悪生存期間(PFS)も良好であることがフェーズ2試験で明らかになった。また減量はされたが忍容性も認められた。1月19日から21日まで米国サンフランシスコで開催されているASCO 2017 Gastrointestinal Cancers Symposiumで、米国Dana-Farber Cancer Institute のJennifer A. Chan氏らが発表した。

試験は切除不能もしくは転移を有する高分化型グレード1-2のNET(カルチノイド、膵神経内分泌腫瘍:pNET)を対象に行われた。

CabozantinibはVEGFR、MET、AXL、RETに対するチロシンキナーゼ阻害薬で、60mgを経口で1日1回投与した。1サイクルは28日とした。治療は病勢進行、許容できない毒性の発現、同意撤回に至るまで継続された。主要評価項目は奏効率、副次評価項目はPFS、OS、忍容性、安全性とした。

カルチノイド群(41人)で、年齢中央値は63歳、男性が44%、ECOG PS 0/1がそれぞれ51人、49人だった。原発巣は小腸、肺、直腸、胸腺、腎臓などだった。pNET群(20人)は、年齢中央値55歳、男性60%、ECOG PS 0/1が40人、60人だった。

前治療数の中央値はpNET群で3回(0-8)、カルチノイド群は1回(0-6)だった。前治療としてpNET群ではスニチニブ、エベロリムス、テモゾロミド、カルチノイド群ではエベロリムス、テモゾロミド、ベバシズマブ、IFNが使用されていた。またソマトスタチンアナログの使用はpNET群が75%、カルチノイド群98%だった。

Cabozantinibによる治療サイクルは、pNET群で中央値が10サイクル(0-35)、カルチノイド群は8サイクル(0-44)だった。フォローアップ期間中央値は23.3カ月。2016年7月時点で治療を継続していたのはそれぞれ25%、22%。治療を中止した理由は、増悪もしくは死亡が50%、34%、有害事象が15%、17%で、同意撤回もしくは試験医師の判断が10%、27%であった。

pNET群の20人中3人はPRに達した。奏効率は15%(95%信頼区間:5-36%)、15人はSDだった。カロチノイド群の41人中6人がPRで、奏効率は15%(95%信頼区間:7-28%)、26人がSDだった。

主なグレード3/4の治療関連有害事象は、高血圧(13%)、低リン酸血症(11%)、下痢(10%)、リンパ球減少症(7%)、リパーゼ/アミラーゼ上昇 (7%)、血小板減少症(5%)、倦怠感(5%)だった。

1サイクル以上の治療を行った患者は61人中53人(87%)で、53人のうち43人(81%)では減量が行われた。40mgが24人、20mgが19人であった。なお61人中50人(82%)は2サイクル以上の治療を受けていた。

またPFS中央値はpNET群で21.8カ月(95%信頼区間:8.5-32.0カ月)、カロチノイド群で31.4 カ月(同:8.5カ月-到達せず)だった。これは既存薬と比べても期待できる結果であるとしている。